少しずつメディアにも取り上げられる機会が増えてきた言葉、“ミレニアル世代”という言葉をご存知でしょうか?
今後の福島での経済活動を行う上でも避けて通れないのがこの“ミレニアル世代”というキーワードです。 ミレニアル世代が福島に及ぼす影響について、お話ししていきたいと思います。
ミレニアル世代とは
ミレニアル世代とは、「1980年代から2000年代ごろに生まれた世代」のことを指します。(アメリカでは1981年から1996年に生まれた世代を指します)
この世代の特徴を端的にまとめると、
・晩婚、未婚が多い
・デジタルネイティブ(インターネットに強い)
・ファストファッション、ファストフードが好き
・既存の産業にとって扱いづらい世代
・堅実、現実主義
といったことが挙げられます。
今後の社会のあり方に関して、この世代の前に当たるジェネレーションX世代(1961年~1981年生まれ)から、徐々にこのミレニアル世代へと影響度は移行し始めてきており、その重要性は年々増してきています。
これからはこのミレニアル世代に対するアプローチが今後非常に重要になってくると考えられています。
ではこのミレニアル世代がどのような考え方を持っているか、詳しく見ていくことにしましょう。
お金に対する考え方
ジャパンネット銀行の調査データによると、「財布に入っている現金は平均して約1万円」だということがわかっています。
驚くべきはそのクレジットカード利用率。なんと「買い物でのクレジットカード利用率は77%」であることがわかっています。
なお買い物でのスマホ決済サービス使用率は21%と、デジタルネイティブと呼ばれるミレニアル世代は購買活動において現金よりもクレジットカードやスマホ決済を使用することに対して抵抗があまりないことがわかります。
また貯蓄についてもミレニアル世代らしく堅実・現実主義な結果が出ています。
・ミレニアル世代の78%が貯蓄をしている
・貯金の目的の1位が”趣味”
さらにmarkezineの調査データによれば、お金の消費希望先として1位に上がったのがこれも”貯蓄”となっており、堅実・現実主義であるミレニアル世代が先行きの見えない社会に対して少しでも不安をなくそうと、地道な努力を重ねていることがわかります。
ミレニアル世代の堅実さが顕著に表れるのが、彼らの一つ前の世代であるジェネレーションX世代(1961年~1981年生まれ)との”耐久消費財(自動車、家電製品、パソコン、家具)”、いわゆるぜいたく品に対するモチベーションの違いです
・ジェネレーションX世代が消費希望先として耐久消費財を選ぶのは40%。
・ミレニアル世代が消費希望先として耐久消費財を選ぶのは26%。
つまりミレニアル世代はぜいたく品に対して積極的にお金を使うことをしないということがわかります。
結婚に対する考え方
日本の長引く不況に拍車をかけるのが少子高齢化であることはすでに周知の事実ですが、その要因の一つが”ミレニアル世代”です。
厚生労働省が発表した「人口動態統計」を紐解くと、1947年の婚姻率が12.0だったのに対し、2015年の婚姻率はなんとその半分にも満たないの5.1という結果でした。
さらに年齢別データを見ると、ミレニアル世代が婚姻率低下に対して大きな影響を与えていることがわかります。以下が年齢別でみる未婚率のパーセンテージです。
ミレニアル世代とされる25-29歳、30-34歳の男女の未婚率は
・男性の未婚率:25-29歳が72.7%、30-34歳が47.1%
・女性の未婚率:25-29歳が61.3%、30-34歳が34.6%
となっており、主にこの世代が未婚率を急激に押し上げている要因の一つと言えます。
このような結果に至る上で、注目すべき要素として”堅実、現実主義”というミレニアル世代の特徴が挙げられます。
デロイト トーマツ コンサルティングが世界中のミレニアル世代を対象として行った意識調査(日本人300人)によれば、今後12ヵ月間で自国の経済的状況の改善に期待する割合は18%となっており、また社会的・政治的状況の改善についても、期待する割合は17%と非常に悲観的にとらえていることがわかっています。
このような意識があるため、結婚・子育てというものについて二の足を踏む人が増え、結果的に未婚・晩婚化が進んでしまっていると考えられます。
仕事に対する考え方
ミレニアル世代に関する様々な記事を読むと、「ミレニアル世代はワークライフバランスを重視している」という文章をよく見かけます。それは本当なのでしょうか。
デロイト・トウシュ・トーマツ(http://www.itmedia.co.jp/business/articles/1604/18/news104.html)の調査結果によれば、
・日本では52%と約半数の人が2020年までに離職を考えている
ことがわかりました。
さらにこの世代が仕事を選ぶ際の指標として、報酬やその他の経済的恩恵を除くと一番の指標が「適正なワークライフバランス」である(21.0%)ことがわかっています。
少子高齢化が進み、深刻な人材不足・売り手市場を背景にして、今後より一層のワークライフバランス重視型の働き方が主流となってくるであろうことは、容易に想像がつきます。
また、東芝をはじめとした大企業の没落を目の当たりにし、多くの人が同じ企業で働き続けられる可能性は低くなってきていることにも気づいてきています。
そのため、継続的なスキル開発を未来のキャリアにおける重要な要素とみなす人が増え、自らのスキルアップに対して投資を行う人が増えてきています。
最近では副業を認める企業も少しずつではありますが増えてきており、自らのスキルを様々な場面で生かすという柔軟な働き方が広がっていく気配も感じられます。
不安定な社会情勢を鑑み、自らの力で何とかこの苦境を乗り切ろうと考えつつも、同時に自分の生活や人生に対して仕事だけではない生き方を求めている、そんな世代がこのミレニアル世代であるといえます。
買い物に対する考え方
先述したようにこの世代はインターネットに強いデジタルネイティブと呼ばれる世代です。その点を加味すれば若い世代はインターネット経由で買い物をするのがほとんど、と考えられそうですが、調査結果は違った答えを出しています。
R&D(リサーチ・アンド・ディベロプメント)のが行った「買い物に関する調査」によれば、ネット経由で欲しいものに出会う確率が一番高いのは
・20代はSNSを見ているとき(37.0%)
・30代はポータルサイトを見ているとき(29.9%)
という結果が出ています。
しかし、実際に購入する際にどこで購入することが多いのかという質問に対しては、
・20代、30代共に店頭に足を運んで購入することが一番多い(60.0%、55.4%)
ということもわかっています。
これらの結果からミレニアル世代は、デジタルネイティブとは言われているもののネットだけで完結するのではなく、ネットで調べる→店頭で購入するという流れが主流であることがわかります。
上記でお話ししたように、すでに紙媒体が購買活動に対して及ぼす影響は非常に少なく、インターネットを用いた販促活動は今後さらにその重要性を増してくることは言うまでもありません。
さらに、デジタルネイティブと呼ばれるミレニアル世代は、PCよりもスマホを使うことが多いことも調査からわかってきています。総務省が行った調査によれば、インターネットを使う際に使用するデバイスの1日あたりの使用時間は
・10代のPC利用時間は15.2分、スマホ利用時間は108.2分(PCの約7倍)
・20代のPC利用時間は31.4分、スマホ利用時間は124.8分(PCの約4倍)
と、若い世代ほどスマホを利用して情報収集をしている事がわかります。
例えばリスティング広告などでPCやスマホでの配信比重を考える際にも、このデータは非常に参考になると思われます。
また、世代に限らずインターネットから買い物をする人は右肩上がりで増えており、今後もこの傾向はしばらく続いていくものと思われています。紙媒体や交通広告などを中心に販促活動を行なっている企業には、耳が痛いお話かもしれません。
最後に、ミレニアル世代の特徴として以下が挙げられます。
・「所有より借用」
・「物より経験」
これらの特徴を基盤として現在非常に流行しているサービスが以下となります。
UBER
スマホの位置情報を元に、現在自分がいる場所にタクシーを呼べる配車サービス。支払いも事前に登録しておいたクレジットカードでできるため、キャッシュレスで利用可能。自分で車を持たない若年層を中心に人気のサービス。
Airbnb
世界中の民家に宿泊できる民泊サービス。ホテルに宿泊するだけでは体験できない「地元民の生活を体験する」、「地元の人と触れ合う」事ができると、従来の旅行ではない新しい体験を求める若年層に人気のサービス。
カーシェアリング
車を一定時間のみ借りる事ができるサービス。車の使用頻度が高くない人や、毎月の維持費に対して疑問をもつ柔軟な思考を持つ世代に人気のサービス。
シェアハウス
複数人で一つの住居に住むための住居を提供するサービス。一人暮らしでは得られないコミュニティ感を求める人や、生活費を抑えたい人に人気のサービス。
このようにミレニアル世代はそれまでの世代とは違った趣味嗜好を持っており、今までとは違った戦略を展開していかなければ取り残されていってしまう危険性が高くなってきています。
サブスクリプション
福島の中のミレニアル世代
現在の福島県内の推計人口は約187万人(福島県現住人口調査結果・平成30年3月1日)となっています。
福島県現住人口調査年報(平成28年版)によれば、そのうちミレニアル世代に当たる20代から30代の人数は約36万人となっています。
出典: 福島県現住人口調査年報(平成28年版)
これは生産年齢人口(15歳〜64歳)から考えれば、福島の約2割超となっています。2割と考えれば一見そこまでのインパクトはないかのように思われますが、今までの福島を支えていたジェネレーションX世代は徐々に引退し、ミレニアル世代後の世代は少子化により人口が少なくなってくると予想されています。
そのため、ミレニアル世代が福島の経済活動に及ぼす影響は決して看過できるものではないことは、容易に想像がつくかと思います。
さらにミレニアル世代後の世代(現在の0歳から14歳)に関しては、今までよりもさらにデジタルネイティブ化が進み、紙媒体や交通広告での販促などはどんどん効果が薄れていくであろう事が予想されます。
その点から考えても、インターネット広告は”今”始めておくことが重要になってくるのです。